過去のコラム:
 

塀は高くすべきか、それとも…?<2001/07/12>

<PART2「塀は高くすべきか、それとも…?」を読む>

 

大阪・池田の児童殺傷事件から1ヶ月―。各学校では、危機管理対策を強化する方向で対策を進めています。しかし学校を"塀に守られた要塞"にすることが理想なのでしょうか…?坂出市のある小学校でお話を伺いました。

(インタビュー:坂出市立川津小学校にて)
山本:私は今回の事件を考える時に「学校に凶悪な不審者が侵入した」という側面だけで捕らえるのではなく、子供を取り巻くいろいろな状況から考えるという視点が必要だと思うのですが…。

木本:わたしも「ただ学校の塀を高くすれば子供たちを守ることができる」という考えではないんです。もちろん、亡くなった子供の親御さんからすれば「何を生ぬるいことを」という印象をお持ちになるかもしれませんが、もともと私は昔から「学校はちっとも安全ではない」と思っています。たとえば会社に不審者が侵入しても、大人がいればなんとか対応ができるんです。でも少しの教員と小さな子供ばかりの学校では、正直なところどうしようもないところがあって、本当に危険な状態が訪れた時、確実に子どもたちを守れるかどうか…?。

山本:例えば学校が顔を認識していない、でも実は生徒の叔父さんがふらっと学校に訪れて子供たちを見ている。もう一方で刃物をふところに隠した別の人がやってきて子供たちを見ている、という状況があったとして、学校側が安全か危険かを的確に判断することは難しい。学校だから安全、という訳ではなくて、家でも学校でも会社でも同じように、不審者の侵入を100%防ぐことはできないと思うんです。

木本:同感です。


坂出市立川津小学校の
木本珠城校長


山本:その中で「間違いを起こさせない」雰囲気を作れるかどうかがポイントではないかと私は思っています。川津は旧来の街の雰囲気が残っていて、地域と学校が良い関係を築いていると聞きましたが…?

木本:私がこちらに赴任して3年になります。地域の自治会、町民会議、婦人会、子ども会など、どれも「機能している」という印象を受けています。それぞれが行っている行事にも、大人も子どもも積極的に参加して「地域みんなで子どもを見守っている」という雰囲気があります。

今回の事件が起こった後に、地域の皆さんとお話する機会が何度かあったんですが、「塀を高くしたらええ、いうもんではないと思う」という貴重なご意見もいただきました。私も同じ考えです。というのも、もしセキュリティ対策をするなら徹底的にやらなければならないんです。門を頑丈にしたとしても、門の近くに進入できるポイントがあっては意味がない。それにいくら校内の警備を固めたところで「さよならー」と外に出てしまってから狙われる危険性もありえる以上、学校だけが頑張っても対策は難しいと思います。

山本:やはり地域と学校の関係を密接にする事は大切ですか?

木本:さっきも言ったようにこの地区では「地域の子」という扱いで、一人一人が川津の町の顔、という考え方を持っています。事件が起きた池田は(付属だから)地域の学校という扱いではないですよね?だから、近所のおじさんの顔は知らないし、知らずにすんでいく世界だからこそ、安全面からの塀は必要だと思うんです。でもここは生まれつき地域の学校、誰が入ってきても分かるわけで、むしろ開かれた学校にしていくことで地域の人達と助けあって地域の子供を守って行くのが一番だと思います。

先日、今回の件を受けて不審者が侵入したケースを想定して避難訓練をしたんですけど、この近くには幼稚園も保育所もあるんですね。だから学校だけのセキュリティを考えるんじゃなくて、保・幼・小の安全を考えようということで、それぞれの先生と地域の駐在所の人にも来てもらいました。いますぐに成果が上がるような良い知恵があるわけでもないのですが、ここで発見したらすぐに他の場所にもうまく伝達できるような仕組みづくりを考えて作っていければと思っています。


一見平和そうな学校。子どもたちはどう思っているのだろう?


この記事への評価を教えてください。

家庭がカギだと思う

15

学校がカギだと思う

1

簡単には解決できないと思う

7

それでも日本は平和だ

20

その他

0


あなたはこの記事を読んでどんなことを感じましたか?
大いなる賛同?反対の感想?それとも自分の経験…?
あなたのちょっとした思い、意見を気軽に下に書き込んでください!
これまでの書き込みはこちら

お名前:


© 2000 GYUTTO JOURNAL.